社労士内田の徒然日記

社会保険労務士の内田が日々の仕事やプライベートなど何でも書き込むブログです。

社会保険労務士という仕事をしていると毎日といっていいほど関係してくる「労働基準法」。改めて労働基準法とは何なのか初心に帰るつもりでご説明します。

「労働基準法」は、勤労の権利と義務を定める日本国憲法第27条の第2項「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」等に基づき、1947年(昭和22年)に制定されました。
※それ以前も工場法、商店法など労働者保護の法律は存在しましたが、労働者保護には不十分でした。
労働組合法、労働関係調整法と合わせて労働三法とも呼ばれます。

使用者に比べどうしても立場が弱い労働者に対して、その労働条件の最低基準を定め遵守を強制しています。最近はどちらが弱いかわからない場合も多いですが…。

「労働基準法」は、原則として全ての業種で、日本国内の場所を単位として、労働者を1人でも使用する事業所に適用されます。
また、労働者は国籍を問わず保護され、たとえ不法就労者でも日本で働いている限り保護されます。

しかし、次の者には適用されません。
①同居の親族のみを使用する事業
②家事使用人
③船員(一部適用される)
④国家公務員
⑤地方公務員(一部適用される)

ここで社長さんにまず認識していただく必要があるのは、労働基準法の規定は強行法規であり、労働基準法の規定に反する労使間の合意は無効となることです。

つまり、「合意は契約当事者を拘束する」のが契約法の原則ですが、労働契約に関しては、労働基準法に反する就業規則の規定や個別労働契約書の場合、合意の内容にかかわりなく使用者が罰せられることがあるということです。

労働事件判例法理も理解していないと判断のつきにくい事例が多々あり、「労働基準法」をうまく理解できていないまま紛争に発展するケースは最近非常によく耳にします。

何か少しでも悩んだらお気軽に当事務所までご相談ください。

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先日、講師をさせていただいている社労士受験講座「社労士ネット倉敷」の合格祝賀会に参加してきました。
なんとか今年も合格者を出す事が出来きホッとしています。

社労士試験は、例年7%前後の合格率で推移しますが、なんと今年は2.6%。
岡山県では1,033人の受験申し込みに対して、合格者は21人という非常に狭き門。

そんな中で合格した受講生は、数年かかったものの、小さなお子さんを育てながら会社を経営されているスーパー母ちゃん。

「忙しい」は自分次第、努力すれば報われる。
受講生という講師から改めて勉強させてもらいました。


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合格発表がある度に自分の時の事を思い出す。毎年ですが・・・。

私は、大学を卒業してからずっと同じ会社でサラリーマンをしていました。
社労士試験に合格し、会社を退職し、独立するとき多くの人から合格のお祝いの言葉や声援をいただきました。実は前職の先輩や上司からそれほど応援していただけるとは思っていませんでした。

私の若い頃(20代)というと、まぁ~、ひどくて、将来不安一杯で生きていて、絶えず自問自答の繰り返し。
憎まれ口をたたき、偉そうな事を言うのだけは一人前、実力不足を棚にあげ、社会や周りに責任転嫁。
そんなどうしようもない若造でした。

当時さんざん迷惑かけた上司から「すばらしい仕事を選んだ!大したもんだ。絶対成功する!」
とびっくりするくらい喜んでいただいたとき、私は優しさに包まれて生きてきた、そう気が付きました。
花

私が講師としてお手伝いをさせて頂いている「社労士ネット倉敷」で、来年度講座に向けて無料説明会を開催します。
講座の説明と合格者・講師による合格体験談の紹介、また、通常サポートも同時実施していますので、雰囲気を体験していただけます。
社労士を目指される方は是非ご参加ください。

①平成27年10月 3日(土)15時~16時30分
倉敷商工会議所(第2会議室)


②平成27年10月31日(土)15時~16時30分
倉敷商工会議所(第2会議室
)

③平成27年11月14日(土)15時~16時30分
倉敷市民会館(第2会議室)


※上記日程以外でも開講後の途中参加も可能ですので、サポートコース講座開講時間中の個別説明や見学も可能です。

◆「社会保険労務士」とは?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%8A%B4%E5%8B%99%E5%A3%AB

◆「社労士ネット倉敷」の特徴
1.ひとりひとりにコーチがつきます
個別に相談に乗りながら学習計画を一緒に作成。 
毎回、進捗状況を確認しながらその方にあった勉強法を考えて実践できるようお手伝いをします。 
コーチは、現役の社会保険労務士。
勉強上の悩みや質問にも応じます。

2.個別指導制
原則として講義形式の講義は行わず、個人個人の進み具合に合わせて、個別に講師が対応、質問をお受けします。 
担当コーチとの学習計画の確認などの他、疑問・質問も個別に講師に聞くことができるので、自分流の勉強ができます。

3.複数講師制  
コーチ以外にも、現役の社会保険労務士が、サポート講座に毎回参加。 
一度に複数の講師がいるので、家庭教師や塾のように講師と気軽に話ができます。
勉強はもちろん、体験談や資格取得後のことなどなんでも質問していただけます。
しっかり利用してください。

4.ミニテスト、ミニ講義なども適宜実施 
毎回、受講生全員が共通のものも体験できるよう、ミニテストなどを実施。
要望があれば、わかりにくい箇所などのミニ講義も実施します。

5.欠席、遅刻早退しても大丈夫  
個別指導ですので、万一、欠席することがあっても、あまり大きな障害にはなりません。 
担当コーチと相談して、自分流の学習計画で進められます。 
とはいえ、なるべく皆勤賞を目指してくださいね!

6.他の通信講座などとの併用もOK 
サポートコースには、テキストがついていません。 
ご自分の好きなテキストを持ち込んで使用していだけますので、他の通信講座などとの併用もOKです。 
教材選びの相談にも応じます。

◆平成28年度サポート日程
平成27年12月 5日開講   時間13:30~17:00

①平成27年12月 5日(土)通常サポート 13:30~17:00
②平成27年12月19日(土)〃
③平成28年 1月 9日(土)〃
④平成28年 1月23日(土)〃
⑤平成28年 2月 6日(土)〃
⑥平成28年 2月20日(土)〃
⑦平成28年 3月 5日(土)〃
⑧平成28年 3月19日(土)〃
⑨平成28年 4月 2日(土)〃
⑩平成28年 4月16日(土)〃
⑪平成28年 4月30日(土)〃
⑫平成28年 5月14日(土)〃
⑬平成28年 5月28日(土)〃
⑭平成28年 6月11日(土)模擬試験 終日
⑮平成28年 6月25日(土)通常サポート 13:30~17:00
⑯平成28年 7月 9日(土)〃
⑰平成28年 7月23日(土)〃
⑱平成28年 8月 6日(土)〃
⑲平成28年 8月20日(土)〃
全19回

費用等詳しくは、当事務所までご連絡いただくか下記URLを参照してください。
http://www.my-story.co.jp/srnet-k/index.html
商工会議所

先日、ある社長さんから
「何度注意してもミスばかりする従業員が居る。先生、そういうやつの給料減額できないの?」という相談がありました。
確かに何度言ってもミスが減らない従業員さんは居ると思います。
そこで、法律上のルールを説明します。

まず、以前ここのブログでも紹介させていただきましたが、賃金支払には基本的な5原則ルールというものがあります。
http://office-uchida.blog.jp/archives/6545089.html(賃金支払の5原則について①)
http://office-uchida.blog.jp/archives/2014-05-14.html(賃金支払の5原則について②)

その中に「全額払の原則」というのがあり、法令や労使協定で定められた事理明白なものでなければ、勝手に給与から控除する事はできません。
この原則は、労働者に給料を確実に受領させ、労働者の日常生活に不安がないようにするための原則ですので、ミスが多いという理由だけで賃金を減額する事は、労働基準法に抵触してしまいます。

「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」(労働基準法 第24条1項)

ならば、懲戒処分としての減額はどうでしょうか?

懲戒とは、職場の秩序を乱した者に対し、職場の秩序を維持するために行う制裁です。

懲戒処分が有効となるためには、就業規則に定められている懲戒事由に該当しなければなりません。
「だったら就業規則に「勤務成績が著しく不良のとき」と定めて減給事由に該当させればいいじゃん。」と思うかもしれませんが、人間は誰でもミスをします。

しかし、そのミスが誰もが懲戒が相当と認めるような理由がある場合のみ懲戒処分は許されます。
判例でも、懲戒が相当と認められる場合はほとんど限られてきます。

前述した通り、そもそも懲戒は職場の秩序を維持するための手段です。
誰でもやりかねないミスに制裁を加えても職場の秩序は保たれないでしょう。

また、たとえ懲戒処分が妥当と認められたとしても「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」旨定め、ついで「減給額の総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」(労働基準法 第91条)と、減給処分に対して2重の制限をかけています。

残念ですが、懲戒処分による減給も非常にハードルが高いと言えます。


人間ですので、個々の能力に差があるのは如何ともしがたい事実です。

懲戒処分云々よりは、人事評価制度の設計や人員配置、賞与査定基準などをきちっと作成し、優秀な人は評価し、能力の低い人は教育訓練を実施するなどの方法をとる事が会社のためになるのではないでしょうか。

人事評価制度や賃金制度の設計・変更などお気軽に当事務所までご相談ください。

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久しぶりにブログを更新しました。

年度更新、算定基礎届のシーズンも終わり、われわれ社労士は少しホッとする季節です。

先日、社労士仲間と大阪で開催された「就業規則サミット2015」という研修に参加してきました。

これからの日本は労働人口がどんどん減少し、人手不足が深刻な社会問題となります。
今のうちに「多様な正社員」制度を社内規程に盛り込み、優秀な人材を確保しないと会社の死活問題となります。

具体的には地域限定正社員、勤務地限定正社員、勤務時間限定正社員 等々...。

しっかり制度設計に備えて勉強しようと思います。
大阪研修

平成27年4月から全国健康保険協会(協会けんぽ)の道府県単位保険料率が変更されます。

リンク参照(岡山県)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h27/ippan/33okayama.pdf

全国平均の保険料率は10・0%に据え置かれますが、保険料は地域の方々の医療費が保険料に反映されるしくみのため、都道府県ごとに保険料率の増減があります。

また、保険料率の変更時期は、例年より1ヶ月遅れての本年4月分(5月納付分)からの適用となりますので、給与計算担当の方は注意が必要です。

何かありましたら当事務所までお気軽にご相談ください。

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昨年の3月末にずっと勤めていたIT関連企業を退職し、平成26年4月に開業してから1年が経ちました。

開業前に本当にやりたい事に向かって進むか、安定した生活をとるか相当悩んだ事を思い出します。
開業当初は、長年染みついた会社員根性から抜け出すのに苦労し、毎月一定の収入が無いことに不安がいっぱいでした。
ガムシャラに頑張っても、1社も顧問先ができない夢を見て夜中に目が覚める事もしばしば...。

この1年間ほど自分が周りの人たちの支えで生きていると感じた事はありませんでした。
お客様、同業者、同級生、前職の仲間、法律専門職、家族など本当に「感謝」という気持ちでいっぱいです。

2年目もプロとしては当然ですが、人間力も磨き、きっと恩返しができるよう日々精進していきます。

今後ともご指導・ご支援、宜しくお願い致します。
名刺2

最近、立て続けに個人の依頼者から「傷病手当金」についての相談がありました。
少し整理して説明します。

まず、日本では皆、何らかの医療保険制度に加入しています。
1955年頃まで、農業や自営業者、零細企業従業員を中心に国民の約3分の1に当たる約3,000万人が無保険者で、社会問題となっていました。

しかし、1958年に国民健康保険法が制定され、61年に全国の市町村で国民健康保険事業が始まり、「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療を受けられる体制が確立しました。

これを「国民皆保険制度」といいます。

公的な医療保険は大きく二つに分けられます。

一つは会社員が加入する「健康保険」、公務員の「共済保険」、船員の「船員保険」のように、組織に雇用されている人を対象とする「被用者保険」であり、もう一つは、自営業者や被用者保険の退職者などを対象とした「国民健康保険」です。
※その他75歳以上の高齢者を対象とした「後期高齢者医療制度」や健康保険事業を公法人で行う「健康保険組合」、同種の事業・業務の従事者を組合員として組織される団体「国民健康保険組合」などがあります。

一般的な会社員が加入する「健康保険」には以下のように様々な給付があり、その中の一つが「傷病手当金」です。

被保険者に対する給付(保険料を収めている本人)   
①療養の給付 
②入院時食事療養費   
③入院時生活療養費 
④保険外併用療養費   
⑤療養費
⑥訪問看護療養費   
⑦移送費   
⑧高額療養費
⑨高額介護合算療養費
⑩傷病手当金   
⑪埋葬料(費) 
⑫出産育児一時金 
⑬出産手当金 

被扶養者に対する給付(保険料を収めている人が扶養している者)   
①家族療養費 
②家族訪問看護療養費 
③家族移送費
④高額療養費 
⑤高額介護合算療養費
⑥家族埋葬料 
⑦家族出産育児一時金 


「傷病手当金」は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

■支給される条件(次の①から④の条件をすべて満たす事が必要)
①業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象となります。また、自宅療養の期間についても支給対象となります。ただし、業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気と見なされないもの(美容整形など)は支給対象外です。

②仕事に就くことができないこと
仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。

③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。また、就労時間中に業務外の事由で発生した病気やケガについて仕事に就くことができない状態となった場合には、その日を待期の初日として起算されます。

④休業した期間について給与の支払いがないこと
業務外の事由による病気やケガで休業している期間について生活保障を行う制度のため、給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。ただし、給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。
※任意継続被保険者である期間中に発生した病気・ケガについては、傷病手当金は支給されません。

■支給される期間
傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。これは、1年6ヵ月分支給されるということではなく、1年6ヵ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も1年6ヵ月に算入されます。支給開始後1年6ヵ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。

■支給される傷病手当金の額
傷病手当金は、1日につき被保険者の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が支給されます。標準報酬日額は、標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)です。給与の支払があって、その給与が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金と給与の差額が支給されます。
(例)標準報酬月額300,000円(標準報酬日額=10,000円)の場合 1日につき10,000円×3分の2=6,667円(50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は切り上げる)

■資格喪失後の継続給付について
資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態(①②③の条件を満たしている)であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができます。ただし、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。

■傷病手当金が支給停止(支給調整)される場合
・傷病手当金と出産手当金が受けられるとき
・資格喪失後に老齢(退職)年金が受けられるとき
・障害厚生年金または障害手当金が受けられるとき
・労災保険の休業補償給付が受けられるとき


長いサラリーマン生活、病気やケガになることもありますし、最近ではメンタル不調による休職も増えています。

冒頭で説明した医療保険制度全てに所得保障である「傷病手当金」が支給されるわけではありませんが、被用者保険では支給されますので、何かあった時のために概要だけでも押さえていただければと思います。

デリケートな内容を含む場合もありますので、詳しくは守秘義務のある専門家、当事務所までお気軽にご相談ください。
(2015/2/18現在の法令による)

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