社労士内田の徒然日記

社会保険労務士の内田が日々の仕事やプライベートなど何でも書き込むブログです。

2014年04月

労働法には「社会通念上」という言葉を使う箇所がいくつかあります。

例えば、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働契約法 第16条)いわゆる解雇権濫用規定です。

法律を学び始めたとき、この言葉がどうにもしっくりこなくて、随分アバウトな表現だなと感じていました。

度々、裁判でもこの言葉の解釈が争点となりますが、「社会通念上」とはいったいどういう事でしょうか。

「世間一般に共通して認められている考え」であることは間違えないのでしょうが、なぜその内容について法律条文で規定していないのでしょうか。

それは、世間一般の常識は日々変化しているということで、つまり、その時々の常識で法律の解釈も変わるという事です。
会社側はその都度、「社会通念」を考えなければなりません。
それって中々厳しいですよね。

そんな時こそ専門家の出番だと考えています。
世の中の流れや判例を理解し、的確なアドバイスをする。
それがわれわれの仕事なのです。

どんなことでもお気軽に当事務所までご相談ください。

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開業祝いに「バリスタ」を頂きました。
前々から欲しかったので、大感激!
本当にありがたい話です。

コーヒー中毒ではありませんが、それでも日に2杯程度は飲みます。
炊き出しは面倒だし、どインスタントは美味しくない。
どちらも解決してくれるすごいヤツ。

いい相棒ができました(笑)
バリスタ

「ポジティブ・アクション」という言葉をご存知でしょうか。

「男女労働者の間に生じている差を解消しようと、個々の企業が行う自主的かつ積極的な取組」と定義されています。

本来、男女雇用機会均等法では、雇用の分野における募集、採用、昇進、配置、職業訓練、定年、退職、解雇等において、男女の差別を禁止しています。
(男女雇用機会均等法 第5条~10条)

しかし、諸外国に比べればまだまだ男性中心の社会であることは間違いありませんよね。

この男女格差を解消するため、女性労働者を男性より優遇する措置を講ずることが、一定のルールで認められています。
これが「ポジティブ・アクション」です。

具体的には、特定の職種に女性を優先的に採用したり、管理職昇進の基準を満たしている労働者の中から女性を優先して昇進させることなどが該当します。

サラリーマン時代、スキル、経験、リーダーシップを兼ね備えた人で、優秀な女性を大変多く見てきましたが、管理職に女性は数える程しかいませんでした。

能力を満たさない女性を優遇する必要までは無いと思いますが、今まで埋もれていた優秀な女性にその能力を存分に発揮してもらう事は会社にとって非常に大きなメリットになります。

ただし、雇用管理区分や職務ごとに女性が「相当程度少ない」、具体的には女性の割合が4割を下回っている必要があります。
下回っていない場合、「ポジティブ・アクション」ではなく、男女雇用機会均等法違反になりますので、ご注意ください。

平成26年度は「ポジティブ・アクション能力アップ助成金」という助成金も新設されています。
導入をお考えの際は、是非、当事務所までご相談ください。
(2014/04/23現在の法令による)

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今日は、年金事務所、労働基準監督署、公共職業安定所と手続きで訪問しました。
すっかり暖かくなり、汗ばんでしまう陽気。
体調も気持ちも絶好調なので、この状態が続けばいいなと思う今日この頃です。

年次有給休暇は労働者の当然の権利です。請求された時季に与えなければなりません。
いわゆる労働者側の時季指定権です。

しかし、「事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」(労働基準法 第39条5項)と規定されています。
いわゆる会社側の時季変更権です。

ここで問題となるのは、「正常な運営を妨げる場合」とはどういった場合を指すかです。

仮にある労働者から急に「明日、休みます。」と申し出があったとします。
繁忙期の会社側(上司)は、「この忙しい時に何を言っている。ダメダメ、来週にしろ。」と、拒否したとします。これは、法的に問題となるのでしょうか。

結論から申しますと、違法となります。

最高裁の判例でも「代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められる場合、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当しない。」(弘前電報電話局事件 昭和62年7月10日 最高裁)としています。

つまり、その労働者が休むと会社側が損害を被ってしまうなどの相当な理由がなければ、認められません。
「繁忙期」という理由だけでは、認められないのです。

また、前述した通り、年次有給休暇は労働者の当然の権利です。
労働者の一方的な権利であり、上司の承認や許可は一切必要なく、休暇の理由によって拒否することもできません。

実は、年次有給休暇について労使間でのトラブルは非常に多いのです。
これは部下だった労働者が、コンプライアンスについて十分理解していないまま管理職になってしまったためである事も原因にあります。

ここで重要となってくるのは
・年次有給休暇が労働者の当然の権利と知ること
・権利と知った上で、時季変更の交渉をすること

要はコンプライアンスを意識し、言い方に気を付けるだけなのですね。

「そんな事言っても俺の若い頃は、有給休暇なんて簡単にとれなかったよ!」という声が聞こえてきそうですね。
でも、行政官庁や裁判所にとってはそんなことは関係ありません。

トラブルを未然に防ぐためにも、管理職のコンプライアンス教育は非常に重要になってきます。

管理職教育をお考えの際は、是非、当事務所までご相談ください。

今日は、社会保険労務士会の自主研究会「障害年金基礎研究会」に参加しました。
再審査請求で原処分を覆す裁決を勝ち取った実際の事案についての説明です。

行政事件訴訟法は、行政庁の処分について不服がある場合、いきなり取消訴訟を提起できることを原則としています。(自由選択主義)

それに対し、いきなり訴訟を許さず、審査請求の採決を経た後でなければ取消訴訟を提起できない法律があります。(前置主義)

公的保険(労働者災害補償保険法、雇用保険法、国民年金法、厚生年金保険法)などはその前置主義をとっています。前置主義には一審制と二審制があり、年金の保険給付は二審制。

具体的には

原処分(行政庁の処分)

不服がある場合

社会保険審査官に審査請求

さらに不服がある場合

社会保険審査会に再審査請求

裁決 さらに不服がある場合

裁判所(提訴)

原処分で正しい決定が出るのが一番ですが、中々難しい。
障害者の方にとっては年金が出るのと出ないのでは雲泥の差。
いかに丁寧にヒアリングを行い、今までの病状や現状の生活の困り具合を上手にわかりやすく書面に表現していくかが社労士の腕の見せ所となります。

朝から障害年金研究会に参加後、午後から商工会議所で社労士受験指導の講師。
昼食を食べ逃し、これから昼食です。


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岡山県社労士会所属の先生が執筆に加わった障害年金の書籍をいただきました。
私たち専門家向けでなく、一般の方向けですが、非常に分かりやすい。
勉強になります。
本


「従業員が無断で副業していて困っている。」という話しをある経営者から聞きました。
不景気で労働時間が短縮され、賞与もカットされ、生活のために副業をする人は多くなってきているのは事実です。

そこで法律上の解釈を説明します。
原則として労働者を拘束できるのは就業規則で定められている就業時間内だけです。
それ以外のプライベートな時間を会社側が拘束することはできません。
日本の法律では個人的な時間まで拘束できるようにはできていないのです。
まぁ、当たり前のことですが。

就業規則で副業を禁止している会社も多いとは思いますが、それはあくまで「お願い」ということに過ぎません。
憲法で保障された就業の自由が当然、優先されます。
※公務員は副業が法的に禁止されています。

では、会社側は何もできないのかというと、懲戒処分にできる場合があります。

ポイントは2点
・本業の労務提供に支障がある場合
・会社に何らかの損害を与える場合


【過去の判例による具体例】
・副業のために遅刻や欠勤が多くなったと判断される場合
・会社固有の技術やノウハウが漏洩されると判断される場合
・会社の名前や名刺を使って副業を行なう場合
・違法な仕事をして会社の品位を落とすおそれがある場合

上記の内容に当てはまるかどうか検討してみてご判断ください。

大手電気メーカーなどの製造業でも、今後、副業禁止規定については廃止の方向に向かっているようです。不景気の世の中、いたしかたないのかもしれません。

どんなことでもお気軽に当事務所までご相談ください。


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倉敷という街は本当に四季が似合います。
どの季節にも趣がある。

この街で生まれ育ち、高校時代は美観地区を通って自転車で通学していました。
その頃は何も考えていませんでしたが、最近この街がどんどん好きになる。

気心知れた仲間たち、美観地区、美味しいお店。

少し前になりますが、美観地区で毎年開催される「倉敷春宵あかり」に行きました。
春宵

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