社労士内田の徒然日記

社会保険労務士の内田が日々の仕事やプライベートなど何でも書き込むブログです。

2014年05月

「従業員は手取りでしか考えないから困る。」とある経営者の方が言われていました。

確かに。。。

人件費というものは、実際に支払う賃金の約1.5~3倍必要と言われています。法定福利費や間接費、福利厚生費その他もろもろ。

社会保険労務士の専門分野で申しますと、社会保険料である法定福利費(厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険)が該当しますが、これらの半分を会社が負担している事を知らない労働者も少なくはないはずです。
ましてや労災保険を全額事業主が負担しているなんて知らないはずです。

一度、長く勤めて掛け金が上がれば、将来の年金も増えることや、保険料の半分は会社が払ってくれていること、また、いかに自営業者にくらべ民間企業で働くことが、優遇されているか説明してみてはいかがしょうか。

あまり恩着せがましくなることは、望ましいことではないですが「見えないお金って発生するのだな。将来役に立つのだな。」と思われるだけでも、不平不満が減ると思います。

個人的には、給与明細に
【社会保険料控除】
厚生年金 ○○,○○○円(事業主負担分 ○○,○○○円)
健康保険 ○○,○○○円(事業主負担分 ○○,○○○円)
と書いてもいいくらいだと思いますが。

従業員教育が必要な場合は、当事務所までご相談ください。

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先日、これから起業する経営者さんとお話をする機会がありました。
従業員、資金等々のいわゆる「ヒト・モノ・カネ」の段取りが整って、いざ出発とうい方です。
もの静かな方で、とてもイケイケの経営者には見えない。

少し仕事でお手伝いをさせていただく事となり、その事業を始めるきっかけや想いを聞いて
みて分かりました。

事業を始めるのをどれほど夢見て準備してきたか、残りの人生の全てを注いで取り組もうとしているのか。
目を輝かせ、もの静かに、でも心に響く言葉で説明をいただきました。

こちらまで熱くなれた日。良いご縁に感謝。

前回に引き続き、賃金支払の5原則について「④毎月1回以上払の原則」から説明します。

④【毎月1回以上払の原則】
 毎月1回以上の支払いが必要です。
締切り期間については、特に定めはありませんので、月初だろうが、月末だろうが問題ありません。
臨時に支払われる賃金、賞与などはこの原則は適用されません。
また、月に1回以上が保障されれば良いので、週給制、日給制でも問題ありません。
年俸制にも適用されますので、年俸を12分割など(賞与を支給する場合は16分割など)して1ヶ月分を支払います。

⑤【一定の期日払の原則】
 一定の期日に支払わなければなりません。
特定の暦日を指定するほうが労働者にとっても分かり易いですが、月給制の場合の月末、週給制の場合の毎週金曜日、などとしても問題ありません。
ただし、「毎月10日から20日の間」など日を特定できない場合や、「毎月第3金曜」など7日間で変動する可能性がある場合は、違法となります。

これら5つの原則を理解しておらず、知らず知らずのうちに法違反をしていることがあります。

例えば
・清算月の時間外労働の一部を翌月に繰り越して支払う
・清算月の時間外労働を数ヶ月分まとめて支払う
・5分の遅刻を30分単位で控除する(減給の制裁を除く)
 →全額払の原則に抵触します

・月末支払日が休日だったため、翌月1日を支払日とする
 →毎月1回以上払の原則に抵触します

賃金については、その他も細かい例外や通達がありますし、労働条件の中でも特に労使間トラブルに発展しがちな項目ですので、注意する必要があります。

トラブルに発展する前にお気軽に当事務所までご相談ください。

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ゴールデンウィークも終わり、やっと花粉症から解放されました。
今年は飛散量が少ないとのことでしたが、それでも薬は必要。
毎日服薬しないと耐えられません。

花粉症の人間は3~4月で散々苦しんで、5月にやっと回復するので、
5月病にはかからないそうです。

なるほど。
というわけで張り切って仕事に励むとします。

賃金支払いには基本的なルールとなる5原則というものがあります。
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。」(労働基準法 第24条1~2項)

①通貨払の原則
②直接払の原則
③全額払の原則
④毎月1回以上払の原則
⑤一定の期日払の原則


少し細かく説明します。

①【通貨払の原則】
 賃金は通貨で支払わなければなりません。
◆口座振込にする場合、労働者個々の同意が必要となります。採用時に給与振込口座の記入用紙に記入があれば、同意したものとして扱われます。
「どうしても現金で欲しい。」と言われた場合、現金で支払わなければなりません。
また、通貨ですので、小切手、有価証券などは日本では禁止されています。

◆現物給与は禁止です。ただし、例外として、法令または労働協約に別段の定めがある場合は通貨以外のもので支払うことができます。
「労働協約」であって「労使協定」ではありません。「労働協約」というのは、労働組合と会社側が合意した内容を指しますので、労働組合の無い会社では禁止ということになります。

②【直接払の原則】
 賃金は、直接労働者個人に支払わなければなりません。
使者に支払うこと(労働者が病気療養中のため妻など)は便宜上問題ありませんが、原則として例外無く禁止されています。
法定代理人(親権者)、任意代理人(弁護士等)にも支払うことはできませんし、債権者(借金取り)などはもってのほかです。
別の条文でも規定されていますが、未成年者の賃金を親が代わりに受領することも禁止されています。(労働基準法 第59条)

③【全額払の原則】
 その全額を労働者に支払わなければなりません。
◆法令に別段の定めがある場合は控除が可能です。
給与所得の源泉徴収、社会保険料の被保険者負担分の控除など。

◆労使協定が締結されている場合は控除が可能です。
社宅・寮その他の福利、厚生施設の費用、社内預金など。当然、労使協定が必要ですし、事理明白なものでなければ認められません。

④以降は次回説明します。

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