社労士内田の徒然日記

社会保険労務士の内田が日々の仕事やプライベートなど何でも書き込むブログです。

2016年11月

平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がりました。
よく質問をいただくので、加入要件がどう変わったのかについてお答えします。
※「社会保険」とは、「厚生年金保険」と「健康保険」を指しています。

まずは、今までの社会保険加入要件から説明します。

■社会保険の加入要件(事業所)
(1)法人事業所である。
(2)個人事業所であり、常時5人以上の従業員を使用している。
ただし、以下の業種の個人事業所は、従業員の人数に関わらず社会保険への加入は任意になります。
・第一次産業(農林水産業)
農業、漁業、林業など
・サービス業
飲食店、料理店、理容・美容業、旅館・宿泊業、飲食店、料理店、クリーニング業、ビル清掃業、浴場、写真、映画・娯楽業など
・士業
弁護士、税理士、会計士、社会保険労務士など
・宗教業
神社、寺など

■社会保険の加入要件(労働者)
(1)労働時間
1日の所定労働時間が、一般社員の概ね4分の3以上。
週に5日勤務、40時間が一般社員の労働であるとすれば、週30時間以上で社会保険の加入対象。
(2)労働日数
1か月の勤務日数が、一般社員の所定労働日数の概ね4分3以上。
労働日数も加入要件の一つで、週に3日以上働いている場合も社会保険の加入対象。

労働者の加入要件が、以下の1から6までの要件を全て満たす短時間労働者(パート等)にも適用拡大されました。

(1)週所定労働時間が20時間以上
(2)年収が106万円以上
(3)月収が88,000円以上
(4)雇用期間が1年以上(見込み含む)
(5)学生でないこと
(6)企業規模が従業員501名以上(平成31年9月30日までの時限措置)


これらの加入要件の変更によって、今までは社会保険に加入対象外だった人も加入対象になるケースが増え、女性自身が被保険者となるケースが増えると言われています。

社会保険に加入することによって、得られるメリットについてもあわせてご説明します。

・厚生年金がもらえる
当たり前のことですが、厚生年金に加入するので、厚生年金がもらえるようになります。
夫の扶養に入っていても年金が得られますが、基礎年金の部分のみになるのに対し、自分で社会保険に入ると厚生年金保険分が上乗せされるため、金額が多くもらえます。

・医療保険の給付が充実する
国民健康保険にはない傷病手当金、出産手当金など所得保障の給付がもらえるようになります。

・障害認定の基準が厚生年金になる
国民年金の障害基礎年金の場合には、年金を受取れる条件が1級~2級の障害が残った場合となっていますが、障害厚生年金の場合には、1級~3級と受給対象の範囲が広くなっています。
傷害厚生年金の3級に該当する軽度の障害が残ってしまっても受給できるので、万が一の時にも安心ですね。
また、万一お亡くなりになった場合も、遺族に遺族基礎年金のほかに遺族厚生年金が支給されます。
遺族基礎年金は18歳未満の子がいない場合は配偶者に支給されませんが、遺族厚生年金は18歳未満の子がいない場合も配偶者に支給されます。

・国民年金、国民健康保険より保険料が安くなる可能性がある
夫が自営業者など「国民年金の第1号被保険者」の場合には、妻も年収の有無にかかわらず第1号被保険者として保険料を納めなければいけません。
国民年金や国民健康保険では被保険者本人が保険料を全額負担しますが、厚生年金保険や健康保険に加入した場合には、保険料の半分を会社が負担します。
つまり、厚生年金保険では、自身が支払った保険料の2倍の額が支払われていることになり、それが給付につながります。

手取りの金額が減ってしまうことは、確かに大変ですが、上記のような事を考えると、社会保険に入ることは長期的に見て決して損なことではないと言えます。

何かご質問等ありましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
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東京から講師をお招きし、「改正労働者派遣法のポイントと企業の対応策」と題して、岡山県社会保険労務士会会員向け研修を実施しました。
約80名の参加申し込みがあり、注目の高さが伺えました。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000097169.pdf
※厚生労働省HPより
houkaisei

10月よりBS日テレ「深層NEWS」において、社労士のCMを放送中です。
◇放 送 局 :BS日テレ「深層NEWS」(毎週月曜日~金曜日 22時~23時)の放送時間内
◇放送期間:平成28年10月3日(月)~平成29年3月31日(金)

是非ご覧ください!

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