傷病手当金と老齢年金との併給調整についてご質問いただきましたので、回答させていただきます。
Q.「傷病手当金と老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)はどちらも受給できますか?」
傷病手当金とは、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合、被保険者とその家族の生活を保障するために健康保険法から支給される給付です。
老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)とは、ご存じの通り、被保険者が一定年齢に達したときや一定年齢で退職したときに働くことが困難になった場合、所得保障のため国民年金法、厚生年金保険法から支給される給付です。
どちらも生活保障の意味合いのある給付なので、原則、二重に受け取ることはできず、傷病手当金が調整されて支給されます。
これは、国は同一の事由に対して二重保障をしないという大原則があるからです。
ただし、在職中については、傷病手当金と老齢年金との調整がかからず、傷病手当金が満額支給されます。
その理由を説明します。
在職中には在職老齢年金という制度があり、賃金が一定額を超える場合には、年金の支給が停止(一部や全部)される仕組みになっています。
なので、傷病手当金についても老齢年金と調整をしてしまうと、既に調整された老齢年金と二重に調整されてしまう事になります。
そのため在職中には傷病手当金の支給額との調整がかからないことになっています。
つまり高齢者は、調整された年金と会社から支給される賃金とをあわせて生活を維持しています。
私傷病によって賃金が減った分を傷病手当金として一部補填しているだけで、年金は関係ないというわけです。
併給調整という仕組みは非常に複雑で、同一の事由に対して二重保障しないという大原則のもと、例外も設けられています。
何かご質問等ありましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
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